「春の世界にうばわれたのかしら」

目をそらし笑った あなたは

 寒さ残った昨日の空を出た

旅立つ日和も分からずに

 「出来るのなら帰ってくるわ 何も言わないで あなたのこと思っているわ 今はそれだけでいいじゃない?」

 寒さ残った昨日の町を出た

わたしをひとつ残して

 「出来るのなら帰ってくるわ何も言わないで あなたのこと愛しているわ 今はそれだけでいいじゃない?」

 春の世界はあなたの街を行く

やわらかな花揺れて

二つの空を染めて

この町は今 春だ